
他人事じゃない!愛する自分の赤ちゃんが多動性障害ADHDと診断されたら
多動性障害(ADHD)について、正しく理解していますか。聞いたことはあるけれど、十分は知らなかったり、他人事だと思っていたりする方も多いかもしれません。
しかし、ADHDの子どもの割合は3~7%と言われており、決して低い数字ではありません。ADHDの症状や対処法についてまとめてみました。
症状
ADHDは、先天性の脳機能障害です。感情の抑制や判断などを司る前頭葉の働きに異常が出て、以下のような症状が現れます。
- 不注意…集中力がない、物をすぐなくす、興味があることには集中しすぎて切り替えられない
- 多動性…じっとしていられない、授業中立ち歩く
- 衝動性…すぐ手を出したり大声を出したりする、乱暴をふるう
これらが組み合わさって現れます。特に、保育園や幼稚園、学校での集団生活の中で、周りの子と同じように動けなかったり、他の子に手を上げたりするようなことで気付くことが多いようです。
原因
原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝の影響があると言われています。また、砂糖や食品添加物などの過剰摂取の影響も疑われています。
対策・治療
集団行動や学習に支障が出るため、ADHDを疑ったら早めに医師に相談します。治療は、薬物による治療と教育・療育的支援があります。
薬物治療では、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの働きを改善する、中枢神経刺激薬(アトモキセチンやメチルフェニデートなど)が用いられます。
教育・療育的支援では、子ども本人が適切な行動を学んでいくだけではなく、ご家族にもどのように接したらいいかというカウンセリングが行われます。
接し方
実際、どのように接していけばいいのでしょうか。ADHDの子どもは、問題行動によって叱られることが多く、「自分はダメな子だ」と思い込んでいる場合も多いので、自己評価を高めてあげることが大切になります。
そのためには、ほめ方がポイントになります。うまくできたことがあれば、できるだけ早くほめてあげましょう。目線を合わせて、時には抱きしめるなどして、喜びをストレートに伝えます。
では逆に、悪いことをしたり好ましくない行動があったりした時にはどうしたらいいのでしょうか。ついつい大声で叱ってしまいそうになりますが、できるだけ冷静に対処します。
大声で「ダメ!」などと叱っても、反抗心や自己否定の気持ちが生まれるだけで、何がダメなのか十分理解できません。
少し距離を置き、その行動を無視します。子ども自身を無視するのではないというのが、難しいけれど大切なことです。注意する時は近づいて、穏やかな声で、何をしてはいけないのかを伝えます。
指示をする時には一度に一つ、具体的に行います。例えば「散らかさないで」と言われても、何からしていいかわかりません。「そのおもちゃを棚に片付けなさい。」と、一つずつ達成させていき、その都度ほめてあげます。
集中力が欠けたら
集中力が欠けている場合、集中しやすい環境を整えてあげます。テレビやおもちゃが近くにあると集中できないので、片付いた部屋のコーナー部分で作業をさせてあげるとよいでしょう。
「普通の子」へのしつけと比べると、時間もかかるし負担に思うかもしれませんが、このような積み重ねで子どもの達成感や自己肯定感を育てていきます。
療育をしていくうえで大切なのは、子どもを扱いやすい子にしたりADHDを完治させたりするのが目的ではないということです。ADHDは生まれつきの脳機能障害なので、一生付き合っていく、その子どもの個性です。
しかし、その個性のために叱られることや集中できず学習に支障が出ることなど、生きづらさも抱えることになります。その生きづらさをできるだけ減らし、自分の個性との付き合い方を習得していくのが目的です。
最後に
いかがでしたか?かつてADHDという考え方が無い頃は、親のしつけが悪いなどと言われ、本人だけでなく親も傷ついてきました。
また、この言葉が生まれて間もない頃は、わが子がADHDである(かもしれない)ということを認められず、適切な療育をさせることができない親も多かったようです。
ADHDへの理解を深め、もし兆候が見られたら早めに対処することで、子どもがADHDの症状とうまく付き合っていくことができるようになります。参考になれば幸いです。