
ただの風邪だと思ったら・・・意外と多い子供の心筋炎の原因・症状・治し方
心筋炎という病名を聞いたことはありますか?
さまざまな原因から心臓が炎症を起こした状態で、初期症状は風邪に似ていますが、最悪の場合死に至ることもある怖い病気です。心筋炎についてまとめました。
原因
最も多いのはウイルス感染です。コクサッキーウイルス、アデノウイルス、エコーウイルスなどの感染から炎症が起こります。
コクサッキーウイルスというと耳馴染みがないかもしれませんが、夏風邪の一種であるヘルパンギーナの原因になるウイルスで、夏には保育園や幼稚園で流行することもある身近なものです。
インフルエンザから心筋炎になることもあります。その他の細菌感染や、川崎病や膠原病も心筋炎を引き起こすことがあります。
症状
初期症状は発熱や咳、のどの痛みなど風邪に似ています。嘔吐や下痢、湿疹等が出る場合もあります。
これら子どもに身近な症状から始まりますが、進行していくにつれていつもの風邪や嘔吐下痢症にしては妙に辛そうな感じがしてきます。
やがて、
- 胸が痛い…炎症が起こっているので胸の痛みがあります。小さな子どもはどこが痛いのか自分でも正確にわからないので、「ポンポンが痛い」と腹痛を訴える場合があり、注意が必要です。
- 心不全…むくみ、尿の量が減る、手足が冷たい、皮膚や粘膜が青紫色になる。
- 不整脈…動悸、息苦しい、失神。
といった、明らかにいつもの風邪とは違う症状が現れます。このような違和感を覚えたら、すぐに病院に行きます。
症状の進み方で、急性心筋炎と劇症型心筋炎に分類されます。
急性心筋炎の場合は適切な治療を行えば快復しますが、症状が急激に進む劇症型心筋炎では、死に至る場合もあります。早期発見、早期治療が鍵になります。
こちらも参考に
怖い小児病「心筋炎」の症状と原因
治し方
原因になっているウイルスへの抗ウイルス剤を投与する他、対症療法的に薬物を用います。
不整脈に対しては抗不整脈剤、心不全に対しては強心薬や血管拡張薬、利尿剤の投与が行われます。
徐脈(脈が遅くなること)の場合は体外式ペースメーカーによって一時的に心臓のリズムを整えるなどの治療が行われます。
薬物で改善しない場合には機械で心臓の動きを助ける治療を行います。
早期に発見できれば、予後は良好な場合が多いようです。約半数は完全に治り、後遺症が残ったとしても心電図に軽い異常が見つかる程度で日常生活に支障はないことが多いですが、中には重症化する場合もあります。
ちなみに心電図の異常についてはこちらを御覧ください。
診断が難しい心筋炎が出す心電図の特徴とは
最後に
いかがでしたか。心筋炎についてまとめました。初めて聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
何より怖いのは、初期症状が風邪や嘔吐下痢症に似ているので発見が遅れやすいということです。
風邪の度に心筋炎の心配をしているときりがないですが、心筋炎という病気について知っていれば、普段の風邪と何かが違うと感じた時、早く対処ができるかと思います。
この、何か違う、様子がおかしいという感覚は、いつも一緒にいるお父さんお母さんだからこそわかるものです。
大切なお子様を怖い病気から守るため、普段から注意深く見守っていてあげたいですね。