
最近よく聞く胎児ドッグって何?費用やメリット・デメリットは
赤ちゃんを授かると、生まれる日が待ち遠しくなるものです。
その一方で、「お腹の中で無事に育っているか?」「健康で生まれてくるか?」というのは、多くのお父さん・お母さんが抱く不安でもあると思います。
そのような不安を少しでも減らし、また、万一にも赤ちゃんに問題があった場合の、早期対処法の1つとして、出生前診断があります。
ここでは、出生前診断の1つである「胎児ドッグ」について取り上げます。
1.胎児ドッグって何?
出生前診断には、羊水検査・クアトロ検査・絨毛検査など幾つかありますが、胎児ドッグもその1つです。
「胎児スクリーニング」とも言い、主にカウンセリングと超音波診断装置(エコー)での検査をします。
予定日が確定した妊婦さんが受けられます。高齢出産である、近親者に遺伝性の病気の者がいる、過去の妊娠で問題があったなどの場合に、出生前診断を希望することが多いようです。
通常の妊婦健診でも、超音波検査は行ってくれますが、診察時間にかなり限りがあることが実情です。
胎児ドッグでの超音波検査は、通常の検診よりも更に詳しく、赤ちゃんの骨の状態・血流・脳・など、細部まで診てくれます。
検査項目は、検査を受ける週数や病院によって変わってきますので、希望する場合は病院に直接問い合わせた方が確実です。
2.胎児週数と主な検査
検査時期は、妊娠20~30週頃を推奨している場合が多いようです。
初期の検査は、倫理的な問題から控えている病院も多いようなので、検査を受けたい時期によって、病院選びを考えた方が良いかもしれません。
<初期11~13週頃>
・NT計測(赤ちゃんの首のむくみのチェックです。これは、この時期にしか検査できないそうです。)
・鼻骨・脳・心臓・横隔膜・四肢など、体の外側や内臓・骨の形態異常の有無。
・へその緒の血流・静脈の血流などを調べます。
<中期18~21週頃>
・体の外側の奇形・内臓・骨の形態異常の有無。
・胎盤・へその緒・血流の異常の有無。
<後期29~30週頃>
・体の外側の奇形・内臓・骨格の形態異常の有無。
・胎盤・へその緒・血流の異常の有無。
・脳のしわなど。(脳のしわは、後期に入らないとはっきり分からないそうです。)
3.病院と費用
・病院
胎児ドッグを受けられる病院は大きく分けて、総合病院、大学病院、地域の産婦人科病院、専門病院の4つがあります。
胎児ドッグを取り扱う病院自体、国内で少しずつ出てきてはいるものの、まだ数が少ないというのが現状です。
このため、全体的な傾向として、非常に予約が取りにくいようです。かかりつけ医で胎児ドッグを行える場合は良いですが、別の病院で受ける場合には、早めの予約をおすすめします。
なお、別の病院で検査を受ける際には、かかりつけ医の紹介状が必要な場合があります。また、超音波診断装置を使用するため、取り扱う者の技術や使用する装置の新旧によっても、検査結果に差が出る場合があるようです。
超音波装置自体は、医療の国家資格を持っていれば取り扱えます。
より信頼できる検査結果を得るためには、胎児ドッグ(出生前診断)の実績がある所や、民間資格の「超音波検査技師」「超音波専門医」のいる所などが望ましいでしょう。
・費用
胎児ドッグを含む出生前診断は、保険対象外です。また医療費控除対象外でもある為、自費となります。
一回の検査費用は平均約1~2万円、高いと約4~5万円の場合もあるようです。なお、病院や検査に使用する超音波診断装置よっても、費用に大きく差があるようです。
また地域によっては、妊婦検診費用助成の対象としている所もあるようで、この場合は6千円程度で受けられる場合もあります。
なお、胎児ドッグなどの検査結果によって、母体や赤ちゃんに何らかの医療処置や治療をした場合は、医療費控除の対象となる場合があるようです。
4.メリット・デメリット
・メリット
胎児ドッグの一番のメリットは、母体やお腹の赤ちゃんへの検査時の負担(流産などのリスク)が無い点です。
また、羊水検査やクアトロ検査などよりも、検査結果が早く出ます。
検査によって、お腹の赤ちゃんに何らかの問題が分かった場合、胎内治療、分娩する為の最適な病院選びや、出生後の早期処置、受け入れる家族の心理面や環境面での準備ができるという点も、メリットの1つと言えるでしょう。
・デメリット
一番のデメリットとしては、胎児ドッグで分かることは、あくまでも確率であるという点です。
決して安くはない検査費用も、経済的負担と言えるでしょう。また胎児ドッグで、赤ちゃんに何らかの問題がある可能性が分かった場合は、羊水検査や絨毛検査など、より確定的な検査を行う必要があります。
思わしくない結果が出た時の、お父さんやお母さんの心理的負担も心配な点です。そして胎児ドッグに限らず、どのような検査を受けた場合でも、100%ではないという点です。
検査結果に問題が無くても、実際に生まれた時や、成長過程において問題が出る場合もありますし、逆に検査結果に問題があっても、生まれてみたら違ったという場合もあります。
5.かかりつけ医と新出生前診断
・かかりつけ医
出生前診断自体、デリケートな側面を多く含みます。お医者さんによっては、胎児ドッグを受けることに良い顔をしない方も少なくないようです。
かかりつけ医がこのような場合、検査を受けることを相談しにくいことや、受けたことを言えないということもあるでしょう。
検査結果に何も問題がなければ、それで済むでしょう。しかし、お腹の赤ちゃんに何らかの問題が分かった場合には、かかりつけ医と連携することも必要になります。
また、前述にもあるように、検査を受ける病院によっては、かかりつけ医の紹介状が必要な場合もあります。
そのような場合に備えて、かかりつけ医に事前に相談や、検査を受けることを伝えておいた方が良いと思われます。
・新出生前診断
ここ数年ほどの間に、新出生前診断(NIPT)というものも出てきました。こちらは、妊娠早期にお母さんから採る少量の血液で、赤ちゃんの染色体異常を調べるものです。
母体や赤ちゃんへの負担が極めて少なく、検査結果の正確性が高いというメリットがあります。
一方で、世界的にもまだ始まったばかりで、検査を受けられる週数が限定されている、検査を受けるには条件がある、費用が高額などのデメリットもあります。
胎児ドッグと併せて知っておくと、選択の幅が広がるでしょう。
最後に
胎児ドッグを含む出生前診断を受けるか・受けないかは、最終的にはお父さん・お母さんの判断に委ねられます。
パートーナーやご主人と、検査を受けることそのものだけでなく、検査を受けた後や、結果が思わしくなかった場合のことまで、しっかりと話し合いましょう。
普通でも何かと不安の多い妊娠です。不安解消の為、お腹の赤ちゃんやお母さんの体の為に、出生前診断を上手に活用できると良いですね。