
石鹸、馬油、ワセリンetc・・・乳児湿疹の保湿ケアの方法4選
すべすべ、ぷるぷるの赤ちゃんのお肌は、本当に可愛く、羨ましいくらいです。
でも実は、大人に比べると、赤ちゃんのお肌は薄いので、少しの刺激で荒れたり、湿疹が出たりします。ここでは、乳児湿疹のケアについて取り上げます。
赤ちゃんとママ社の月刊誌「赤ちゃんとママ」の、かやば小児科医院院長・萱場潤先生の記お話が分かりやすいので、一部こちらを参考にいたします
1.乳児湿疹って何?
「乳児湿疹」とは、赤ちゃんのお肌に表れる、できものの総称です。
乳児湿疹の中には、あせもやかぶれといった、単なるお肌のトラブルだけでなく、感染症など病気が原因のものもあります。
まず、生後3~4ヶ月頃の赤ちゃんは皮脂の分泌が多いです。この原因は、お母さんのホルモンの影響と言われています。
この時期の乳児湿疹の主な原因は、「乳児脂ろう性湿疹」や「新生児ニキビ」などが多いです。
そして、生後4ヶ月頃以降の乳児湿疹は、乾燥性湿疹やあせも・かぶれ・感染などが多く、皮脂の少ない状態で起こることが増えます。
また、アトピーやアレルギーなど、元々の体質による炎症が原因の場合もあります。乳児湿疹が出た場合、すぐにアトピーやアレルギーを心配する必要はありませんが、きちんと医師の診察を受けた方が良いでしょう。
2.まずは清潔に!
お肌に大切なケアと言えば、一番は保湿です。
これは、大人も子どもも同じですね。しかし、その前に必要なケアがあります。まず、保湿の前にお肌を清潔にすることが大切です。
食べ物やよだれ、鼻水などは、その都度、ぬるま湯でやさしく手で撫でて洗い流しましょう。
1番の前半で述べた「乳児脂ろう性湿疹」「新生児ニキビ」は、皮脂が毛穴に詰まる為に炎症が起きます。これらの場合は保湿も大切ですが、きれいに洗ってあげることが、一番の対処法です。
また、乾燥性湿疹の場合は、赤ちゃんの体中どこでも出る可能性があります。オムツと擦れる股の部分や、首のシワの間など、細かい所も気を付けてあげて下さい。
<石鹸>
赤ちゃんのお肌に湿疹が出て荒れていたり、かぶれたりして痛々しいと、触らずにそっとしておきたくなりますが、これは逆効果です。
詰まっている皮脂が落ちなかったり、汚れが溜まったりして、湿疹が余計に悪化してしまいます。お風呂の時に、しっかり洗いましょう。でも、強く触るのはいけません。
石鹸を泡立てて、手のひらで優しくこするように洗ってあげて下さい。固形石鹸が使いにくければ、ポンプ式の泡石鹸でも良いです。
また、大人と同じ石鹸では、赤ちゃんのお肌には刺激が強いです。低刺激の赤ちゃん用の石鹸や無添加石鹸を選びましょう。
体を洗う為の石鹸の使用は、一日に一回の入浴時で十分だそうです。必要以上に石鹸で洗うと、今度は、お肌を守るための皮脂が落ち過ぎてしまいます。
なお、商品名に「ベビーソープ」との表記があっても、洗浄力自体は大人用と変わらない物もあり、これは赤ちゃんのお肌には刺激が強いです。
パッケージを一見しただけでは分かりにくいので、固形石鹸でも、泡石鹸でも、裏の成分表をよく見てみましょう。
石鹸の素地以外の成分が、なるべく含まれていない物を使ってあげて下さい。また、敏感肌のお母さんは、赤ちゃんに使う前に、自分のお肌で試してみるのも一つの方法です。
<お風呂で>
乳児湿疹全般において、入浴時に気を付けたいことがあります。まず、湯船の温度は少し低めにし、長湯は控えましょう。
これは、お肌の保湿成分を逃さない為です。次に、湯上がりはタオルでゴシゴシこすらずに、タオルをお肌にあてるようにして、体の水分を拭き取ってあげて下さい。
タオルの摩擦は、赤ちゃんのお肌にダメージを与えます。
3.保湿剤
冒頭にもあるように、赤ちゃんのお肌は、とても薄くて刺激に弱いです。
更に、お肌のバリア機能も未熟である上、生後4ヶ月頃以降になると、それまでお肌を守ってきた皮脂量の分泌も減ってきます。
お肌が傷んだ状態になりやすくなるので、日頃の保湿ケアを意識することが必要になります。ここでは、お肌への水分補給に使う保湿剤について見てみましょう。
<ワセリン>
保湿剤の一種で、油分を多めに含んでいます。不純物を取り除いた鉱物油からできています。原料は、ベビーオイルと同じです。
水分補給そのものよりも、水分を逃さないように、お肌に蓋をする働きの方が大きいです。他の保湿剤や病院の処方薬などと併せて使うと、より効果的でしょう。
病院でもらえる薬の「プロペト」という保湿剤と、ほぼ同じ役割をします。
<馬油>
その名の通り、馬の脂肪から作られています。
人の皮膚に限りなく近い成分でできている為、赤ちゃんにも安心して使えます。保湿効果や美容効果も高く、殺菌作用もありますので、乳児湿疹だけでなく、おむつかぶれや乾燥肌、あせもなどにも有効です。
赤ちゃん用の物も発売されていますが、普通の馬油でも大丈夫です。かなりベタつくので、薄く塗ってあげて下さい。
<ヒルドイドクリーム>
主に豚由来成分からできる、ヘパリン類似物質という物を含む保湿剤です。
お肌への水分補給効果が高く、血行を促進する作用もあります。主に病院で処方されます。
湿疹の他に、傷の回復をスムーズにするといった働きもありますが、血行促進という作用上、血が出ている所には使えません。クリームタイプの他に、軟膏やローションタイプもあります。
<ヒアルロン酸入りクリーム>
ヒアルロン酸は、よく聞きますね。潤い成分ですが、これは元々、人の体内にある成分です。
ヒアルロン酸自体の、成分としての粒は大きく、お肌の奥深くまでは入りにくいですが、ワセリンと似ていて、お肌の水分を逃さないようにする働きが大きいです。
また、お肌の奥まで入るように改良されたタイプのヒアルロン酸もあります。元々、人が持っている成分なので、赤ちゃんに使っても安心ですね。
4.食事・お部屋・お出かけ
石鹸や保湿剤といった、お肌へ直接作用するケアの他に、日常生活で他にどのようなケアが出来るでしょうか。順番に見てみましょう。
<食事>
赤ちゃんが母乳を飲んでいる場合は、お母さんの食事も大切になります。
もちろん、母乳をあげているお母さんは、普段から食べ物・飲み物に気を遣っていることでしょう。
しかし、赤ちゃんに湿疹が出ている場合は、お母さんの食事を改めて見直してみましょう。乳製品や揚げ物・お菓子類は、大人でも肌荒れの原因になることがあります。
これらをお母さんが摂り過ぎると、母乳を通じて赤ちゃんにも影響が出ることがあります。また、離乳食など、赤ちゃん自身が自分で食事をする場合は、そのメニューを見直してみましょう。
アレルギーとまではいかないものの、食べた物が体質に合わない可能性もあります。ただし、これらは個人差がありますので、あくまでも可能性の一つとして考えて下さい。
<お部屋>
赤ちゃんのいる室内の環境においても、湿度が大切です。特に乾燥性湿疹などの場合は、お部屋の湿度に気を付けてあげて下さい。
お部屋の湿度は、50%~60%を保つことがポイントです。外のお天気などによっても変わってきますので、湿度はこまめにチェックすると良いでしょう。
<お出かけ>
外出時も注意が必要です。大人が思う以上に、赤ちゃんのお肌に外気の影響があります。お肌に直接風が当たり過ぎないよう、衣類やベビーカーカバーなどで覆うといった工夫をしてみましょう。
また、季節によっては、日差しにも気を付けたいところです。赤ちゃん用の低刺激の日焼け止めで、お肌を守ってあげて下さい。
赤ちゃん用の日焼け止めは、大人の物と違い、効果が弱かったり長続きしなかったりするので、こまめに塗り直してあげると良いと思います。
最後に
乳児湿疹は原因が様々です。湿疹の原因や状態、赤ちゃんの体質によって、効果のある石鹸と保湿剤も千差万別です。
乳児湿疹は、清潔と保湿のケアを家庭でしっかり行えば、時間と共に良くなることも多いです。しかし、これらをしばらく試しても、湿疹が良くならない時は、病院できちんと診察してもらいましょう。
悪化してからですと、治療にも時間がかかりますし、強い薬を使わなければならない事も増えます。なお、乳児湿疹の場合の受診は小児科ではなく、皮膚科にかかることをおすすめします。
専門医にしっかり診てもらいましょう。赤ちゃんの湿疹の状態をよく見て、早めに対処して、スベスベのお肌を取り戻してあげたいですね。